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『王朝のかさね色辞典』
読者が選んだ「かさね色」

『王朝のかさね色辞典』読者キャンペーンにて、多くの読者の皆さまから、お好きな「かさね色」と、それを選んだ理由や感想を寄せていただきました。ここに一部ですが、紹介させていただきます。

『王朝のかさね色辞典』より
壷菫の襲

近所に海沿いの丘がある。海からの強い風で雑草でも育ちにくい。が、日当りが良いため、春には1ヶ月遅れでスミレが咲く。やっと緑になった丘に、無数の紫の花が星のように咲く。そのいじらしい美しさに毎年胸が熱くなる。それを思い出させてくれる。本全体の感想は美しいの一言に尽きる。文章も味わい深く、何度も読みかえしたい本である。

(兵庫県・女性)

『王朝のかさね色辞典』より
薄花桜の襲 / 紅葉の襲 / 初雪の襲

家族の誕生日に合わせて選びました。

薄花桜の襲、娘が生まれた日は、例年なら桜が散っている頃でしたが、雨も降らずに満開の桜でした。こぼれんばかりの桜が、「桜のいちばん美しい姿をとらえた気品のある襲」にぴったりだと思いました。

紅葉の襲、同著者の「色紀行」で、刈安が伊吹山のもので染められていると知りました。家から少し出ると、伊吹山が遠くに見えます。数年前に伊吹山にも登り、身近に感じました。

初雪の襲その二、冬に白い襲を着ていたという平安時代。真っ白な雪に白い襲とは、景色に自分が溶け込んでしまったように綺麗であっただろうと遠い時代に想いをはせて。

(三重県・女性)

『王朝のかさね色辞典』より
枯野色の襲その一 / 朝顔の襲 / 若菖蒲の三枚重 / 水色の襲

いずれの襲も素晴らしく、秀逸のものはどれか選び難かったのですが、色彩の微妙な濃淡、単に緑、紫、赤などといった言葉では表現できない色合いとその襲方が、心に染み入るようでなぜか涙が出そうになります。

季節や場に合わせ、襲色を考えていた昔の方達の教養の深さは、現在よりも文化水準が比べようもないほど高かったのだと再認識させられました。

(大阪府・女性)

『王朝のかさね色辞典』より
蓬の襲その二 / 桜の襲その六 / 搗き草の襲

掲載された中から好きな色を選ぶのは本当に難しいのですが、自分の季節感や記憶をたどってこの三色を選びました。平安朝の人びともそのようにして選び、また語り合ったのであろうと想像します。

蓬の襲その二 春の蓬が待たれるこの季節です。春の野に寝転んで嗅ぐ蓬の香り、そして香りの高い蓬餅。

桜の襲その六 吉野の桜を偲ばせる上品さが好ましい色感です。今年の桜はどこに行こうか。

搗き草の襲 やっと夏が終わり、待ち望んだ秋の初めの清涼感が感じられます。

(千葉県・男性)

『王朝のかさね色辞典』より
蘇芳菊の襲 その一

古典では更級日記が一番好きです。その更級日記の中で、唯一、筆者(菅原孝標女)が自身の衣装に言及しているのが、この菊の襲なのです。注釈書に「菊の襲はさまざまあるけれど、蘇芳菊の襲が穏当か」と書いてあるので、この襲を選びました。

(神奈川県・女性)

『王朝のかさね色辞典』より
紅梅の襲 その一 / 花橘の襲 / 搗き草の襲 / 松にふる雪の襲

半年ほど前から、万葉集を読むことに挑戦しています。現在は巻十三を読み進めており、古代の万葉人になりきって、四季それぞれから一つずつ選びました。

私は男性ですが色に興味があり、たまたま見かけた吉岡先生の本を拝見して魅了されてます。普段の日常生活の中でも、四季の彩の美しさを見つけられる喜びに気付づかされました。

(愛知県・男性)