吉岡幸雄が選んだ今月の色
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ツイートする「染司よしおか」五代目当主、吉岡幸雄氏に毎月、日本の色にまつわる様々なお話をしていただくコーナーです。紫紅社特製カレンダー付き壁紙とともに、毎月月末に更新の予定です。

11月 飛鳥から天平時代の「赤」

紫紅社刊『日本の色の十二ヶ月』(吉岡幸雄・著)
十一月「正倉院と法隆寺の染織品の魅惑」より

紫紅社刊『日本の色の十二ヶ月』より
日本の色の十二ヶ月』(吉岡幸雄著)

法隆寺には千四百年近い歳月をへたいまも深紅の蜀江錦 (しょっこうにしき)太子間道 (たいしかんどう)が伝えられ、若干退色はしているようであるが、鮮烈な飛鳥の色彩を私たちの眼前にみせてくれる。これらの鮮やかな赤の染料は、茜なのか臙脂虫 (えんじむし)かは判断しにくいが、この長い年月、美しい色を保てるだけの染料で染められていることはたしかである。

飛鳥から天平時代の「赤」は、私のような仕事に携わるものには永遠の課題である。千年以上も前の実物をみると、染織の技は進歩したのか、退歩したのか考えざるをえない。

1760年代にイギリスではじまった産業革命は、人の手によっていた生産や技術を機械化した工場で大量につくり出す仕組みをつくった。たとえば染料においても分子を科学的に合成させて、自然の色に近いものを生み出し、欧州諸国でつぎつぎと化学染料が誕生した。

日本には化学染料は明治時代のなかごろに輸入されて、それまでの伝統的な植物染はだんだんと化学染料に取って代わられていった。当時としては珍しい舶来の色であった。

それからおよそ百年の歳月が経ち、石油からの高分子化学によって染料はつくられ、木綿にも麻にも絹にも、そしてナイロン、レーヨンのような化学繊維にもたやすく染まり、色落ちはほとんどなくなってきた。

しかし、今日まで遺された日本の数々の染色品をみるとき、私の眼には古い伝統的な技法、飛鳥太平の時代から江戸時代の終わりまでの千年以上も培ってきた染織の技によってうみだされた色のほうがどうしても美しくみえるのである。

より詳しくは、『日本の色の十二ヶ月』(吉岡幸雄著)
十一月「正倉院と法隆寺の染織品の魅惑」
でどうぞ。

11月カレンダー付き壁紙

吉岡幸雄著『王朝のかさね色辞典』より、染司よしおか植物染めによる「秋の色」の作品を壁紙にしました。

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『王朝のかさね色辞典』吉岡幸雄著

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