京都・ぎをん齋藤創業170年の記念として、現7代目当主・齋藤貞一郎氏の古裂コレクションを書籍化。齋藤氏が30歳半ばより少しずつ蒐めてきた裂類100点余りの中から選りすぐりの裂約90点をオールカラーでご紹介。
正倉院裂、唐時代のものから幕末までの染織裂に、一点ごとに精緻な作品解説を付随させました。英語解説付き。古裂愛好家や研究者の貴重な資料としてお役立ていただけるよう、付属DVDに90点すべての古裂の写真を pdf 電子書籍として収録。実際に手元にあるような詳細写真から、その美しさをご堪能いただけます。
序文:泉田玉堂、杉本博司、柳孝
著者:齋藤貞一郎
写真:尚永堂
判型:A4変形(縦307mm × 横242mm)
編集:細見美術館 吉川右香
監修:関西学院大学教授 河上繁樹
発行所:美術図書出版 紫紅社
定価:本体価格 30,000円+税
送料:離島・海外を除き送料無料
発刊予定:2014年4月中旬
齋藤 貞一郎
染織の歴史を振り返ってみると
人が「もの」を作ってきたというよりも
時代が「もの」を作らせてきたというべきである。
杉本 博司(現代美術作家)
ぎをん齋藤のコレクションは染織の全人類史を概観することのできる貴重な資料である。私達は現代文明のただ中で、大量生産の布と化学染料の色にまみれて過剰の内に精神的色盲になってしまった。私は齋藤さんのコレクションを見ることによって目が洗われる想いがする…(序文より)
柳 孝(古美術商)
長年にわたり蒐集してこられた時代裂のコレクションは、あらゆるものが揃い、いずれも状態が良く、美しいものです。
とりわけ、辻が花と慶長小袖裂の種々は、いままで拝見したことのない柄行のものが多く、魅力的でした。
失くしてはならなぬ美しい日本の伝統であるきものを、そのすぐれた意匠と技術とともに、これからも支えていただきたいと思うものです…(序文より)
泉田玉堂(大徳寺 530 世)
齋藤氏が、何年か前に「現存する最も精緻な織物」と言われる前漢時代の羅の復元事業を、中国の湖南省博物館と共同でやったと伺った事が有り、その折の見本を頂戴したことがあった。羅といえば、我々禅僧の頭にすぐ浮かんでくるのは、中国南宋時代の禅僧が着用した、紫地印金や牡丹印金の袈裟である。その袈裟の一部分を使って、禅僧の揮毫した墨跡を表装したが、それ等は、今日、表装裂の最高峰とされている。齋藤貞一郎氏は知る人ぞ知る古渡の裂の蒐集と復元に一織職人として命をかけている人である…(序文より)
関連リンク:
『正倉院裂と飛鳥天平の染織』紫紅社刊
『正倉院・法隆寺伝来裂』紫紅社刊
『名物裂:前田家伝来 上巻』紫紅社刊
『名物裂:前田家伝来 下巻』紫紅社刊
『布の道標』より
紫白地菊辻ヶ花
(17世紀)
濃緑四季草花辻ヶ花
(16世紀)
熊野速玉裂 服紗
(14世紀)
正倉院裂唐花錦
(8世紀)
金更紗鶏頭手
(17世紀)